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初めましての事件
見慣れたビルの前に見慣れないたくさんのパトカーが止まっている。
「相沢製紙」の本社が入ったビルはどこのビルとも変わらない普通の10階建てのビジネスビルだ。
一応企業の規模は大きいため、そのビルの上層三階全てが「相沢製紙」のものとなっているが、それ以外の階層は他企業が管理している。
そのため、ビルの前に大量のパトカーが止まっていたとしてもそれが「相沢製紙」が原因とは限らない。
しかし、自分の勤める職場のあるビルの前に大量のパトカーが止まっているという事態は精神の健康に悪い。状況の把握は必要だ。
外坂はパトカーの周囲にいる野次馬達の声に耳を済ませた。
「上の方で何かあったらしい」
「ガス漏れとかいう話が…」
「いや、ガス以外の毒物が発生しているとか」
「幸い死人は出ていない」
「取り残された人がいる」
「警察でも手が出せない状態」
「どうやら事件の原因は「相沢製紙」らしい」
聞けば聞くほど、頭が痛くなる内容が外坂の耳に入ってくる。
これはもう「相沢製紙」に何かがあったと考えて間違いないだろう。
とはいえ噂レベルの話を聞いただけで情報収集を済ませるのは良くない。外坂は近くにいる警官にさらに詳しい事情を聞くことにした。
「すいません」
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