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「うーーん、なんか必要以上に警戒されてる気がするなぁ。慣れてるけど、毎度傷つくのは嫌なんだよね? 僕ってそんなに怪しいかい?」
青年は軽い声で軽い内容の返事をした。
外坂は思う。常識の通用しなさそうな相手だ。礼節をともわない口調で話す相手をどう信用しろというのか。
「見たところ貴方は私より若そうだ。年功序列が絶対だとは言いませんが、初対面の目上の相手には丁寧な口調を心がけるよう勧めますよ?」
外坂が諭すように言うと、青年は両の手を返してやれやれと言わんばかりに首を振る。
「かったいなぁー。お兄ーさん友達少なそう。仕事では上司に好かれそうだけど。でもさ、敬語とか挨拶って非効率じゃない? 僕は早めにここの事件を解決したい。そのためにここの会社の人に話を聞きたくて、だから貴方がここの人かどうか知りたがった…それだけなんだけどなぁ」
青年は「仕事の資料をコピーする」と同じ程度の軽さで「ここの事件を解決する」と言った。
「解決って…だから貴方は何者なんですか? 効率非効率の話をするなら礼儀の話は置いておいたとしても自分の身分を先に明かす方がより効率的でしょう? 私には何が何だかわからない。 名刺はお持ちですか?」
「それが実は非効率なんだけどなぁ。はい、これ名刺。僕の名前はマオ・ブレンダ。アメリカ人と中国人のハーフだ。よろしくね」
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