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初めましての事件
外坂はマオと名乗った青年がコートのポケットから出した名刺を受け取る。
外坂も名刺を出してマオに手渡した。
「私は「相沢製紙」の営業課と経営企画課の課長を兼任してる外坂紀夫と申します。では名刺を拝見させていただきます」
「ご丁寧にどーも」
外坂はマオから受け取った名刺を見て目を見張った。
防衛省 緊急保安対策部 召喚課
マオ・ブレンダ
まず目の前にいる青年が防衛省の人間であるということ。そして、彼が所属する「緊急保安対策部」「召喚課」という部署の名前。
見ただけで驚く名刺を今まで数度受け取ったことがある外坂だったが、この名刺はその中でも群を抜いていた。
「失礼ですが、召喚というのは裁判所等で証人を呼ぶ時に使う「召喚」という言葉と同じ意味ですか?」
外坂の質問にマオは首を振った。
「ファンタジー小説とかでモンスターとかを召喚するシーンあるでしょ? あの召喚だよ」
マオの言葉に外坂は目を白黒させる他なかった。
もちろん召喚という言葉を目にして外坂が最初に思い浮かべたイメージもファンタジー的なそれだ。魔法陣、竜、悪魔…etc
しかし、それではこの現代社会、そして防衛省という肩書きにそぐわない。外坂はそう考えてマオに先程の質問をしたのだが、どうやらその思考は間違っていたようだった。
「………」
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