人生を貸す懐中時計

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ただ訪れる平日の朝に、毎回絶望しながら登校するしかなかった。 そんな毎日の中で僕は『死にたい』と考える事はなく、『早く歳を取って死に近付きたい』と思っていたのだ。 だけど、考えれば考えれるほど、時間の流れが遅く感じられた。 + ある日の放課後、僕は廃墟ビルの屋上にいた。 いつも通りフェンスを軽く握り下を眺める。 走っている、車も歩いている人間も、ちっぽけに見える。 誰にも危害を加えられない、僕の落ち着く場所だった。 今日は、えーっと……第二月曜か。 週末の休みまで、後4回も学校に行かないといけない。 金曜の授業が終わるのが何よりの楽しみだったが、土曜日の夜には『明日で休みが終わってしまう』と名残惜しくなり、日曜にベッドに入る時は気分が最悪になる。 そんな事を気にしないで朝を向かえられたらどんなに幸せだろう。 この先、僕はどうなるのだろう。 高校に入ってもうまくやっていける自信はない。 大学?就職? 何より人間関係の不安でいっぱいだ。 もしも一瞬で歳を取れたなら、人生を早送できたら、どんなに嬉しいだろう。 「……その願いを叶えましょうか?」 いつの間にか、僕の数メートル後ろに背の高い男性が立っていた。
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