異母兄弟と不定形

2/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
黒色聖典(バイブルブラック)はどこにある?その鍵は?」 「知らねえよ!お前の後ろで踊ってる真っ黒な人影は違うのか?!」 保孝が振り返るが何もいなかった。 「つまらん嘘だな。この俺を担げるとでも思ったか。腕を切り落とせ」 「嘘じゃねえよ!お前の後ろでダパンプしてる奴だよ!ちゃんと見てみろ!」 「この俺を馬鹿にするのもいい加減にしろ。この俺の背後でアフリカ踊りをしているだと?ふん。いないじゃないか」 「アメリカだ馬鹿!ほら!チュウチュウトレインしてんぞ!一人で!おまえ何だああああああ?!」 「やかましい!大人しく腕を切られろ!何だその猫は?どうやって入った?」 四月一日が見ると、赤毛の長毛猫が一匹。優雅に寛いでいた。猫がやおら起き上がり、軽く跳躍し、襟巻のように四月一日の首に巻きついた。首輪についたルビーが、キラリと光った。 顔を擦りよせ甘える猫に、思わず四月一日はこう言ったのだった。 「紅葉?」 「何だと?!」 既に魔法が発動していた。四月一日に巻きつく前に、魔法発動音が発せられていた。 マンションの床が、巨大な顎門に変わっていた。 保孝の部下が数人、顎門に沈んだ。 「猫だと?!何があった紅葉?!」 「貴方の知ったことではニャいわ。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!