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side B
ファインダーを覗いていた少女が視線に気づいたのかこちらに顔を向けてくる。決して見つからず、彼女を見守るという約束なのだから、絶対に見つかってはいけない。そんなことを考えながら茂みに伏せ、まだ雪が積もり切っていない地面に黄金色の体を必死に擬態させる。
「きのせい…かな?」
彼女はすこし首を傾げた後、誰も見つけられなかったのか再びファインダーに顔を近づける。ほっと一息地面から少し体を持ち上げ、彼女の方にもう一度顔を向ける。
しかし、
――また来たっ!
彼女は再び同じ方向に視線を感じたようで、閉じていた片目を開いてファインダーから目を離す。
こっちに視線を向けられる直前に何とか彼女の方を向いていた頭を伏せ、再び地面とどうかしようと試みる。
「きのせい…よね…?」
そんなつぶやきを聞き、また安堵する。決して見つかってはいけない。それでも彼女を見守り続ける。少なくともこの木で一人、あのカメラを使っている限りは。
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