序章 コンバート・ユア・マインド

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 スライムの出現により、これが夢だと断定した私は、この可笑しな明晰夢にしばし付き合う事にした。具体的には適当な小枝を拾い、スライムに歩み寄って、その小枝を深々の突き刺したのである。  堅く引き締まったゼリーにフォークを差し込んだ様な手応えの後、スライムは大きく震え、動かなくなってしまった。 「倒せた・・・のかな?」  それを猫君に問おうとした次の瞬間、スライムの体内に達している小枝がジュッと音を発て、跡形も無く消え去ってしまう。一瞬にして溶かされたのだと、手応えが教えてくれた。 「・・・・・・猫く~ん!?」  私は即座に、踵を返して猫君の元まで退却し、中程まで溶けた小枝を突き出した。 「ヤバイよ、あれ! 危険過ぎるよ!」 「あいつらは獲物を呑み込み、腐食性の強い体液で消化吸収する捕食生物・・・もっと大きいのは牛くらいは丸呑みするけど、あれなら怖がる理由は無し。頭を使って、手早く障害を排除するんだ」 「頭を使う・・・・・・」  私は周囲を見回し、あるアイデアを思い付く。拳大の手頃な石を手に取り、スライムに一番近い木の太い枝の上に登る。そして、そこからスライム目掛けて石を投てきした。     
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