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「しかしそれもここまでだ! 貴様は数多の戦いで仲間を亡くした! ふはははっ! たった一人でこの私を倒そうとは 勇敢とは言い難いぞ勇者よ!」
「誰!? 何を言っているの!? 僕分からないよ!」
怖くて仕方が無いのにそれでも頑張って周りを見渡すが、声はすれどその姿はどこにも見つからない。
『ドンッ!! ドンッ!! ザワザワザワ…』
爆音と共に森全体が揺れると小さな武弘の身体もそれに合わせる様に小さく跳ねた。
「イヤだよ… 帰して… もう家に帰りたいよ!」
ボロボロと涙を流す少年は誰がどう見ても勇者には程遠かった。
「ふはははっ! ここまで来て戦わずに帰るのか勇者よ!」
「僕は勇者なんかじゃないよ!」
「笑わせるな勇者よ! その恰好でまだ勇者では無いと言うつもりか!?」
短パンにTシャツ姿だったはずなのにいつの間にか勇者らしい服装に変わり、刃こぼれし鈍らの剣と薄っぺらい盾が左右の手に握られていた。
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