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「何これ? こんなの知らないよ!」
剣と盾を地面に放り投げるとガシャンと大きな音が森の中に響いた。
「お家… お家… どっち?」
何度も何度も周りを見回すが、何十回何百回と遊んだはずの森なのに今は全く違った印象を与えていた。
ここは一番お気に入りの場所だった
森で一番大きな木と開けたスペースにはフカフカの落ち葉が敷き詰められ、座り心地の良い丸みのある石が一つ、その石に腰かけたり地面に寝転んだり日が暮れるまで沢山の友達と散々遊んでいた場所
それなのに… 今は違う
差し込んでいた温かい日差しは分厚い雲に覆われて吹き付ける風は冷たく肌に突き刺さり、大切な友達の姿はどこにも無かった。
「家に帰るだと!? 剣を取れ勇者よ! 我に勝てなければ家に帰る事など出来ないのだからな!」
ビクリと身体を震わせると自分の意思とは関係無く手は投げ捨てた剣へと伸びていった。
「そうだ! 剣を取れ勇者よ! そして我と戦うのだ!! さあ 最後の戦いの始まりだ!」
その声と共に今までにないほどの強風が小さな武弘に襲い掛かった。
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