始まりの日

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始まりの日

 朝からしとしとと降り続いていた雨は、夕方のうちに、薄暗い色の雲と共にどこかに去ってしまったらしい。  オフィスを出て慌てて傘をさそうとした美沙は、乾き始めているアスファルトの地面を見て小さくよしっと呟いた。ベージュピンクのパンプスはおろしたてだったが、水撥ねで汚さぬよう、細心の注意を払いながら小走りで駅へと向かう。  19時の待ち合わせだったが、予想外に仕事が立て込んでしまい、会社を出るのがギリギリになってしまった。高校時代からの親友との食事の約束だが、今日だけは遅れるわけにはいかない。
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