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照りつける太陽が眩しい土曜日の午後。真人と瑠馬は最寄り駅に集合し、電車を乗り継いで事務所へと向かった。前日に事務所へはアポイントメントを取っておいた。真人が電話に出たスタッフに説明すると、自分のことが既に事務所内に知れ渡っている様子で、それほど自分は社長の目に留まったんだなと実感した。
電車を降りて、事務所の最寄り駅から徒歩で十五分程度のコンクリート外壁五階建てのシープロ本社に二人は到着した。中に入って二階の受付に自分の名前を伝えると、奥のオフィスから社長がニコニコと笑顔で出てきた。
「待っていたよ! 逢羽真人くん! 隣はお友だちかな?」
「立花瑠馬です」
「よし! じゃあ瑠馬くんからも話を聞こうかな? 五階に案内するよ~」
二人は社長に案内されて、エレベーターで五階へ向かった。到着した五階には四つの応接室があり、二人はそのうちの一部屋に案内された。三人がソファに座ると、社長が口を開く。
「さぁてと、単刀直入に言うけど……真人くん、うちの事務所でアイドルやりませんか?」
「はい! もう心に決めてきています」
「ちゃんとご家族には言った?」
「応援しているから、自分らしくキラキラ輝けと言われました」
「それなら良かった! アイドルはいつから憧れていたの?」
「五歳の時からです! 母と姉と行ったライブで、一瞬にしてアイドルの魅力に惹かれました」
「ありがとう! 今の言葉とライブの時の会話で、君のやる気は十分伝わりました」
社長は手続きに関する話を真人にした後、瑠馬に目を向ける。
「次は瑠馬くんなんだけど……どう? アイドルに興味あったりする?」
「俺は……真人から話をよく聞いていたので、少しは興味あります」
真人と話す時はだいたいの話題がアイドルのことだった。これが小学生の時から続けば、基本的なことはある程度覚えてはいた。そして毎回真人が楽しそうに話すから、決して退屈ではなかった。
「実を言うとね、今の二人のオーラがものすごいの。アイドルに向いているオーラなんだよ」
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