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 花火が打ち上げられている夜空。  それを見下ろすような高さに、人影が2つ。  特別な装置などなく、生身の身体のまま影は宙に浮かんでいた。  影の一つは、Tシャツ姿の少年。  その隣には、中性的な外見の人物。  緑の髪をし、穏やかに微笑んでいる。 「ヴィス」と少年は隣の人物に話しかけると、歓喜の色を両目に浮かべた。  眼下には、次々と打ちあがる花火と街灯りのパノラマ。  見える、と少年は口元を緩ませながらつぶやいた。 「このメディカルスキャナーが役に立ったようでなによりです、ケイ。それにしても、花火というのは美しいですね。我々の星にはないものです」  宙に浮かんでいるような2人だったが、よく見ると淡い光に包まれている。  ケイと呼ばれた少年が夜空を見上げると、半透明の巨大な船が頭上に浮かんでいた。 「本当に行っていいのか? そのダール星とかに」  星の瞬きを見詰めながら問い掛けるケイに、ヴィスは黙って肯いた。 「そういう約束ですから。でも、無理にとは言いません。この星の民であるなら、あなたでなくても構わないのです」  思い詰めた表情で、視線の先の三日月を見るケイ。  白杖をつき、慣れない足取りで街を歩く自分の姿がフラッシュバックする。  視力が戻ったのを確かめるように、ケイは手の平に視線を落とす。 「いいよ、約束だから。それに、ダール星に行ったら、珍しいものがたくさん見られるんだろうし」  ヴィスが肯くと、2人の身体は上昇し、船に吸い込まれていった。
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