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3
そうしてケイはダール星へと向かった。
ワームホールを作る独自の超光速航法により、船はわずか数日で到着。
そこはバルルという名の大陸の都市だったが、一目見てケイはダールの文明が予想以上に発展していることを知る。
しかし、それは思い込みでもあった。
オピニオンタワーと呼ばれる行政の中枢機能に案内されると、ヴィスはこう告げる。
「地球では、戦争を繰り返しながらも、互いを熟知していました。しかし、バルルの民はそうではないのですよ」
どのような意味なのかと問いかけると、ヴィスはそれに答えず、近くの部屋へとケイを通した。
部屋の中には、3つの人影。
彼らの姿を目にして、ケイは息を呑む。
地球人とそっくりのヴィスとはちがい、獣人の女がいる。
他の2人も、ヴィスやケイとは微妙に異なる外見だ。
ヴィスはケイにブレスレットを渡すと、それぞれの紹介をはじめた。
獣人の女はピンダ星のエル、ティアラの少女はティモス星のミーク、一枚布をまとった男はワラン星のギンダーというらしい。
5人の前に立体映像が浮かび上がり、星間図が映される。
中央にダール星があり、それぞれの星との位置関係が示される。
ダールに連れてこられたのは地球人のケイだけではないようだった。
立体映像が切り替わり、現れたのは船から見たエメラルドグリーンの星。
事務的な口調で、ヴィスはダールの状況について語りはじめる。
4つの大陸に分かれているダールだが、かつて人々は各大陸を自由に往来し、盛んに交流していた。
しかし今は互いに不干渉を貫き、それぞれの大陸を「ないもの」として扱っている。
きっかけは、20万年も前のある出来事。
ビガーという惑星と抗争を繰り広げていたダールは、ある時、休戦を申し入れられる。
状況は互いに疲弊しており、これ以上争いをつづけることは無意味。
二度と争いを起こさないようにしたいというビガーの提案は、互いの星のマントル付近に地殻破壊爆弾を埋め込むというものだった。
抑止力のためとはいえ、万が一起動すれば地表はことごとく崩れ落ち、死の惑星となる。
自らの心臓を預けるような提案に、ダール星は揺れ動く。
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