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パコンと先生に頭をはたかれて愁輔は私を離した
「愁輔、こいつ超がつくほど鈍感女だぞ?ちゃんと言わなきゃわかんねーよ」
「先生ひどい、何ですかそれ……」
「まあいい、とりあえず二人で話せ、さっさと帰れ!!」
「お邪魔しました」
二人で頭を下げて、なんとなく気まずい雰囲気で学校を後にした
「愁輔、私ここから電車で帰るから」
沈黙に耐えられなくてさっさと校門を出ようとしたら愁輔に腕を掴まれた
「送ってく、足痛そうだし、それじゃあ電車乗れないだろ」
よく見ればスカートから出た足はストッキングが伝線しているし、靴も傷だらけだ
「いいよ気にしない」
「オレが気にする、送らせて?」
「……うん」
ここで押し問答しても仕方ない、素直に愁輔の車に戻った。
車内には今度はショパンからモーツァルトに変わっていた音楽が流れる
「指、無理させて悪かった……知らなくて」
「ううん。ある程度なら弾けるの。でもね、ソレ以上は音色もコントロール出来ないし指も縺れるから」
「そっか無責任に神様の手とか、悪かった……」
愁輔はすまなそうに指に触れる。その優しげな触れ方に胸が痛い。
「愁輔は本当にそう思ってくれてたんでしょ?それならいい、嬉しかったし」
「オレ、愛華のピアノ好きだよ」
「ありがとう」
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