第1章 二度目の冬

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通学路のじっとりとした灰色の空は気分が晴れない。 砂漠のような空気は全身から水分をじわじわと吸い取っていく。 冷え切った空間に指先からだんだんと体温を奪われる。 吐いた息は白くなりいつのまにか消えていた。 冬は嫌いだ。 末端冷え性の自分にとってこの季節は最悪である。 カイロがあっても手袋をつけてもマフラーを巻いても耳当てをしても寒いものは寒い。 顔面は隠せないし首や足元の隙間から冷気が入り込んでくる。 温かいところを本能が求めるためか、自然と歩みが速くなる。 首をすくめだんだんとスピードを上げて歩いても前の人がゆっくりなせいでなかなか進まない。 毎日その繰り返し。 これだから冬は…。
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