第1問 幼なじみには何が足りないのか

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俺は今、兄貴から手渡されたチケットを横目にスマホでメッセージを作成している。 かれこれ、30分は経過してる。 「だぁー!なんて送ればいいんだ!?」 先程、兄貴に 「これ、さっきしずくちゃんにも渡しておいたから、こうにもあげる。2人で行ってきなよ!お土産は、2ショット写真ね」 と言われ、即座に 「いや、何それ。お土産がなんで2ショット写真?」 「あれ?2人で遊園地ってのは素直に受け止めるんだ。」 ハッとした。 2人で遊園地…いや、行きたい!けど、しずくが行ってくれるかな。 「しずく、なんて言ってた?」 「御礼言われただけだよ?」 そっか、じゃ行くのはイヤではない? 「こう、ちゃんとデートのお誘いをしずくちゃんにするんだよ!男だろ?じゃーね」 こうして、兄貴から言われたデートのお誘いをしようと今に至っているわけだが、全く経験のないことなので、なんて言えばいいのか分からず。悪戦苦闘していた。 幼馴染ってこういう時、困る。 しずくと出かけるなんて、2人きりなんて、俺大丈夫かな。 小さい頃からずっと一緒で、この先もそれは変わらなくて、でも、幼馴染のままはイヤで、しずくを俺のものにしたくて。 いつから?そんなの分からない。 気づいたら、もうこうなってた。 幼馴染に何かが足りないってずっと感じていたけど、こーゆーことなのかも。 緊張する。 しずくをデートに誘うの緊張する。 「よし!」 俺は進まないメール作成を諦めて、通話ボタンを押した。 「…はい、しずくです」 耳もとで響く、しずくの声。 「あっ、俺だけど。しずく?あの、兄貴からさ、遊園地のチケットもらったろ?」 「…うん、もらったよ」 「俺と一緒に行ってくれるかな」 「うん、行く」 即答!やった! 「じゃ、日にち大丈夫な日教えて?」 「えっとー、次の土日は何もないよ」 「マジで?俺もそこ、練習休み」 「ほんと?」 「うん、じゃ今度の土曜日に朝迎え行くから。」 「あ、あの!」 「ん?」 「コレってデートだよね?」 「えっ、そうなる…と思うけど」 「それじゃ、待ち合わせ…しませんか」 しずくが可愛い事言うから俺の緊張はピークを迎えた。 「待ち合わせ、いいけどどこにする?」 「…駅前。駅前のとこに8時でどぉかな」 「おっけー、分かった。…しずく。寝坊すんなよ?」 「こうこそ!遅刻しないでね」 初デートまであと1週間だ。
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