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俺は今、兄貴から手渡されたチケットを横目にスマホでメッセージを作成している。
かれこれ、30分は経過してる。
「だぁー!なんて送ればいいんだ!?」
先程、兄貴に
「これ、さっきしずくちゃんにも渡しておいたから、こうにもあげる。2人で行ってきなよ!お土産は、2ショット写真ね」
と言われ、即座に
「いや、何それ。お土産がなんで2ショット写真?」
「あれ?2人で遊園地ってのは素直に受け止めるんだ。」
ハッとした。
2人で遊園地…いや、行きたい!けど、しずくが行ってくれるかな。
「しずく、なんて言ってた?」
「御礼言われただけだよ?」
そっか、じゃ行くのはイヤではない?
「こう、ちゃんとデートのお誘いをしずくちゃんにするんだよ!男だろ?じゃーね」
こうして、兄貴から言われたデートのお誘いをしようと今に至っているわけだが、全く経験のないことなので、なんて言えばいいのか分からず。悪戦苦闘していた。
幼馴染ってこういう時、困る。
しずくと出かけるなんて、2人きりなんて、俺大丈夫かな。
小さい頃からずっと一緒で、この先もそれは変わらなくて、でも、幼馴染のままはイヤで、しずくを俺のものにしたくて。
いつから?そんなの分からない。
気づいたら、もうこうなってた。
幼馴染に何かが足りないってずっと感じていたけど、こーゆーことなのかも。
緊張する。
しずくをデートに誘うの緊張する。
「よし!」
俺は進まないメール作成を諦めて、通話ボタンを押した。
「…はい、しずくです」
耳もとで響く、しずくの声。
「あっ、俺だけど。しずく?あの、兄貴からさ、遊園地のチケットもらったろ?」
「…うん、もらったよ」
「俺と一緒に行ってくれるかな」
「うん、行く」
即答!やった!
「じゃ、日にち大丈夫な日教えて?」
「えっとー、次の土日は何もないよ」
「マジで?俺もそこ、練習休み」
「ほんと?」
「うん、じゃ今度の土曜日に朝迎え行くから。」
「あ、あの!」
「ん?」
「コレってデートだよね?」
「えっ、そうなる…と思うけど」
「それじゃ、待ち合わせ…しませんか」
しずくが可愛い事言うから俺の緊張はピークを迎えた。
「待ち合わせ、いいけどどこにする?」
「…駅前。駅前のとこに8時でどぉかな」
「おっけー、分かった。…しずく。寝坊すんなよ?」
「こうこそ!遅刻しないでね」
初デートまであと1週間だ。
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