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待ちに待ったデート当日。
目が覚めたのは、まだ薄暗い4時35分。
学校ある日でもバスケの試合ある日でもこんな風に目が覚めたことはない。
「はぁー。」
洗面所で顔洗って、昨夜決めた服に着替えた。
俺、小学生かよ。
どんだけ楽しみなんだよ。
自分でも笑えてきた。
家族が起きないよう、朝ごはんを適当に済ませて、自分の部屋に戻る。
今日こそ、伝えられるかな。
しずくに自分の気持ちを言えるかな。
緊張と不安、それから好きな子とのデートに浮かれてる自分にニヤついてしまう。
平常心。
まるで、試合前のようだ。
「あれ?」
待ち合わせ場所に30分も早く着いたのに、もうそこには見知った女の子が立っているのが分かった。
「あっ!こう…」
しずくは、こちらに気づき少し照れた様子で俺に声をかけてきた。
「…ごめん。俺、早く来たつもりだったけど、待たせちまったか?」
「いやっ、違うよ!私が早く来すぎたの。…なんか早起きしすぎちゃって」
顔が少し赤くなってるしずくを見て、俺も同じだよ…とは言えなかった。
「そ、それじゃ、行こうか」
「う、うん」
ちらっとしずくを見てみると、いつもと違って可愛い服を着ている。
髪型も俺好みで、めちゃくちゃ可愛い。
こうゆう時、きっとモテる男なら褒めたりするんだろうけど、俺にはそんな余裕もなく、スキルもないからなんて言っていいのか分からないでいた。
「はい。切符」
手渡しでしずくに切符を預ける。
「あ、ありがとぉ」
「しずく、あのさ…今日って何時まで平気かな?」
「えっ?こうと出かけるって言ってきたから何時でも大丈夫だけど」
「そっか。遊園地のあと行きたいとこあるから、少し遅くなるかも」
「行きたいところ?」
「そっ。まぁ、俺に任せて着いてきて」
「わかった」
しずくは、素直に俺の言うことを聞いてくれた。
早起きしたおかげで事前リサーチすることができた。
遊園地の近くにしずくが大好きな画家の個展が開かれていることを知った。
せっかくだし、遊園地のあと一緒に行こうと下調べをしたのだ。
その画家は、俺も大好きでしずくといつか一緒に作品を見たいと思っていた。
「こう?」
ハッ。
「あっ、わり。どぉした?」
「もうすぐ遊園地あるとこだよね?」
「あっ、ほんとだ。次の駅で降りるよ」
「うん」
いよいよ、しずくとの初デートが本格的に始まる。
がんばれ!俺!
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