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小さい田舎に似つかわしくない一軒の古本屋。
今にも壊れそうな看板に微かに書かれている文字をみる。
『御剣古書店』
店内に入れば、本の山が幾つも置かれている。
店の奥にダンボールがあるが、その中身も本だろう。
僕は、此処の常連であり、時折いなくなる亭主のかわりに留守番をする変わり者だ。
客は時々来る。
亭主の趣味かわからないが、僕でも分かりかねない異国の文字で書かれた本を求めに訪れるこれまた変わった客。
僕がここに来るきっかけになったのは一冊の本だった。
それは、もう絶版となり最悪なことに個人が印刷した本だった。
絶版・個人出版はそうそう店でもネットでもなく、好意していた本屋の旦那からこの『御剣古書店』を勧められた。
僕の探していたのは
この世に存在してはいけない禁術書。
『地獄百鬼召喚書』
地獄といえば、日本という感覚があるだろう。
しかし、地獄というのは色々な国にもあるのだ。
簡単に言ってしまえば、世界の地獄から召喚したい化物を呼び出せる訳だ。
僕は、本を手にしたが中身を読んだが、未だに使用はしていない。
亭主との約束があるからだ。
この店では世の中に出してはいけない本の保管場所でもあった。
客は自分が欲しい貴重な一冊の本を求めてくる。
さて、今日も夜更け。
そろそろ開店しようか。
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