魔導書への道

1/1
前へ
/10ページ
次へ

魔導書への道

「先輩、いい加減見せてくださいよー。」 ここは青森県にある私立の女子高。 私は歴史あるオカルト研究会に所属する1年生だ。 日本に高校は数あれど、オカルト研究会が実在する高校はうちくらいだと思う。 オカルト研究会はなぜか毎年一定の人気があり、オカルトブームが去った今でも歴史を紡いでいる。というか、ブームの前からあったらしい。 怪談や都市伝説は好きだったものの、オカルトマニアまっしぐらでもなかった私がオカルト研究会に入ったのは、ある噂を聞いたからだった。 ――この学校のオカルト研究会には、会長から会長へと代々受け継がれる魔導書があるらしい... 魔導書!なんて甘美な響き! 小学生の頃から本や妄想が好きで、小説も書いていた私が文芸部でなくオカルト研究会に入ったのはこの噂に惹かれたからだ。 何としても魔導書を手に入れたい...! そう、私は厨二病。 オカルト研究会に入会してから、私は虎視眈々と魔導書に触れる機会を探った。 会長になれば魔導書を管理できるらしいけど、会長は毎年秘密の占いで選ばれるらしいし、会員は同学年だけで10人もいる。確実になれるかどうか分からない。 それよりも会長に近づき!こっそりと魔導書を手に入れたほうが確実だ。 部室は図書館の上にある広めの和室で、押し入れとか本棚の後ろとか、一通り探してみたけど大事な魔導書を隠すような場所は見当たらない。 ということは...在りかは会長の家か。 今の会長は神宮寺小夜子さん。 ストレートの黒髪に切れ長の目が印象的な和風美人だ。セーラー服もよく似合う。 私は無邪気な一年生を装い、会長に近づいた。 UFO、UMA、占星術などオカルトに勉強熱心なところを見せたのと、お互いたまたま家が神社だったこともあり、放課後の活動を重ねる度に仲良くなることができた。 魔導書について話を振ったら、そのたびに「皆に聞かれるけど、ただの噂よ噂。」とはぐらかされたけど...逆に怪しい。きっと何かある。 そして、入部から3ヵ月ほど経った週末、私は小夜子さんの家に遊びに行くことに成功した。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加