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「リドルストーリー」という物語の手法がある。
物語中に出て来た謎に明確な答えが出ずに、いわゆる「ご想像にお任せします」的な締めくくりで終わってしまう物語のことである。
僕は、リドルストーリーなんて結末が分からない物語を好きにはなれない。
書き手の意図した答えを、いかなる手を使ってでも知りたいと思ってしまうのだ。
子供っぽいな、と自分でも思うけれど、すっきりしないのは嫌いだ。
さて、僕は今、地元の本屋でひとつの本を手に取っている。
僕はどうしてもこの本を買いたくて、そのために週末の貴重な時間を使っていくつかの書店をわざわざ巡った。
そのハードカバーの本のタイトルは「最後の手紙」。
著者の名前は「植村翼」。
迷わずレジに並んで、購入する。
レジでお会計してくれた同い年くらいの可愛らしい女の子がニコッと微笑んで、
「いい読書になるといいですね」
なんて言いながら僕にその本を渡してくれた。
非常に感じがいい。
自分が特別な客なのかも、と勘違いしてしまいそうなくらいに。
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