スカイシューターの矜持

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「敵を知り己を知れば、ってヤツですよ」 そう答えたものの、小林一曹は心の中で独りごちる。 "そりゃ俺だって、できれば戦闘機パイロットになりたかったよ……高所恐怖症じゃなければ、さ……" 若狭湾上空では、F-16 4機対 X-47B の戦いが始まっていた。 しかし。 「あれ……何やってんだ?」空を見上げながら、天田二尉。「連中、誰も目標を攻撃しようとしないぞ? 何を恐れてんだ? 敵には空対空装備はないんだろ?」 彼の言うとおり、F-16はどの機体もX-47Bの周りを横切ったり周回したりするだけで、近づこうとする気配すらなかったのだ。 「たぶん、マイナスG機動を警戒してるんですよ」と、小林一曹。 「マイナスG機動?」天田二尉が彼に振り向く。 「ええ。例えば、スプリットSってありますよね。あれ、普通は機動に入る前に機体を180度ひっくり返して背面にするんです」 小林一曹は身振り手振りを加えて続ける。     
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