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それを見るやいなや、ヨハンセン中尉は機体を急降下に入れていた。GIBが悲鳴を上げるが、気にしている場合ではない。
X-47Bは、シュウインガー少尉の目の前でスプリットS機動(逆宙返り。Sの字の下半分のような軌跡を描くためそう呼ばれる)をやったのだ。それも背面に入ることなく。有人機ではほぼ不可能な機動だった。
「"Buzz", I got it. Cover me(バズ、俺がやる。援護しろ)」
「Copy that, "Rick"(了解、リック)」
シュウインガー少尉の応答を聞きながら、中尉は高度差を速度に変え、X-47Bめがけて自機をまっしぐらに加速させる。高度が一気に下がったため、ヤツもこれ以上スプリットSはできない。このまま一撃離脱戦法でヤツを撃墜する。中尉はHUDにX-47Bを捉える。
その時。
彼の目の前で、X-47Bが右に横転を打つ。右旋回で回避するつもりか。そう判断した中尉は、追随しようと反射的に自機も右にロールさせる。
しかし、次の瞬間。
彼の視界から、X-47Bが忽然と姿を消す。
"……しまった!"
慌てて中尉は左に機体をロールさせるが、遅かった。左に急旋回したX-47Bは、既に遥か彼方に遠ざかっていた。
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