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手は服の裾から潜って蠢き、肌に直接触れてくる。体が期待から少しずつ火照りだす震えに堪えるため、絡まる手に力を込めてぎゅっと握る。それを肯定と受け取ったのか首筋を舌先で舐め上げられた。
「やめて……怒られる、」
「誰に?」
何も答えられない、夕には知られたくない、汚れた自分のことを……。この手がずっと自分と繋がっていればいいのにといくら願っても、祭り囃子が響く夜が訪れると自分の手は別な男の手に掴まれ、絡まり、やがて縋り付く事になるのだと、莉糸は理解していた。
小さな抵抗にもならずに束の間の夢想としか成り得ない行為でも、それでも夕と繋がっていたいと、莉糸は身を委ねた。
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