5/5
前へ
/5ページ
次へ
 手は服の裾から潜って蠢き、肌に直接触れてくる。体が期待から少しずつ火照りだす震えに堪えるため、絡まる手に力を込めてぎゅっと握る。それを肯定と受け取ったのか首筋を舌先で舐め上げられた。 「やめて……怒られる、」 「誰に?」  何も答えられない、夕には知られたくない、汚れた自分のことを……。この手がずっと自分と繋がっていればいいのにといくら願っても、祭り囃子が響く夜が訪れると自分の手は別な男の手に掴まれ、絡まり、やがて縋り付く事になるのだと、莉糸(りいと)は理解していた。  小さな抵抗にもならずに束の間の夢想としか成り得ない行為でも、それでも夕と繋がっていたいと、莉糸(りいと)は身を委ねた。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加