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「りいちゃん、また帰ってきてんの?めんどくない?」
土曜の昼過ぎに、母から頼まれた貰い物のお裾分けを手に近所の幼馴染みの家へ行くと、学校から帰って来たばかりなのかまだ黒い学生服姿の夕が出迎えてくれた。家の人間は皆出払っているという事で当たり前の様に2階の夕の部屋へ行く。
「めんどいけど、そういう約束だから」
学習デスクに収まっていた椅子を窓際まで引っ張ってきてそれに腰掛け、窓を開けて煙草をくわえる。最近湿度が治まってきて、ふんわりと生ぬるくなった空気は夏の終わりの知らせと共に祭の季節が近づいてきている事を実感させた。煙草に火をつけてまずは軽くふかす。
「俺にもちょうだい」
深く吸い込んだ煙を吐き出す莉糸の顔近くに夕の手が伸びてきて、右手から吸いかけの煙草を奪い取っていった。
「おばさんに怒られるよ」
一応、咎めても夕はただ笑うだけだった。
「背伸びなくなるよ」
「りいちゃん越したから、もういいや」
「目標低いなあ」
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