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「気が付いたんだね!」
色鮮やかな衣装を揺らしながら、少女が駆け寄ってきた。それから、一穂の額に手を当てる。
「熱も下がってる。よかった」
少女がホッとしたように笑った。見知らぬ彼女のはずなのに、一穂もなぜか安堵した。
「キミが……助けて、くれた……?」
まだ掠れていたが、声は出た。
「ほんとびっくりしたよ。戦場に突然光と共に落ちてくるんだもん」
「せんじょう? ひかり?」
「憶えてないの? まっ、そうだよね。怪我して意識ないし、最初死んでるのかと思った」
彼女はそう言って、一穂の腕と足を見た。
「半月眠りっ放しだったしね」
「半月? ッ……うぅ」
「いきなり大声出さないの! 傷に触るよ」
驚いて思わず体を起こしてしまった一穂を、少女は優しく摩った。
その手が温かく、一穂の心を一瞬だけでも安堵させる。
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