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タバコを止めてくれない彼とコーヒーを止められない彼女
あたしには一つの願いがある。
それは、彼のタバコを止めさせること!
彼と付き合い始めたのは大学四年の時。
就職活動で苦労していて、弱っている中、パソコン室で隣に彼が座ったことがはじまりだった。
リクルートスーツを着て、就活サイトを巡る、そして眉を寄せて、いい会社はないかと探す。その時、いつの間にか、彼は席を外していて、戻ってきた時に「はい、これ」と渡してくれたお茶のペットボトル。そのあと、何気ない話をして二人で過ごした。あたしは不思議と心が安らぎ、恋に落ちた。
彼と付き合い始め、相談や状況報告をしながらも、帰り道にカフェによったり、ゲームセンターのUFOキャッチャーでぬいぐるみを取ってくれたり、と付き合いたての恋人の雰囲気が、就職活動のストレスを癒した。
先に彼が就職先を決めても、浮かれた雰囲気を出さずに、応援してくれたし、励ましてもくれた。一度は「専業主婦になってやる!」と号泣しながら言ったこともあった。しかし、それは一時の迷い。彼の言葉に支えられ、なんとか就職活動を続け、年末にやっと決まり、二人で約束した京都旅行へ行くことができた。
ここまで頑張れたのも、彼のおかげ!
本当に心から感謝の気持ちでいっぱいだった。
しかし、旅行で知った。
彼は愛煙家だった。
あたしはもともと、タバコの匂いが苦手で、最初、知った時には心底驚いた。
道中で話してくれたが、授業中など室内でいる時にタバコの匂いを気にして霧吹きをかけて押さえてから向かっていたらしい。体に悪いのは知っているが、気持ちの切り替えで吸いに行くとのこと。
旅行自体は楽しかったが、タバコのことが心にしこりのように残り、せっかくの旅行ではキスまでできなかった。
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