山の主

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山の主

真っ白な着物に身を包む人…ではなく、神がいた。 神社の神主さんが、祭事に着るような和装だ。 二十代そこそこに見える美青年、山の主は面を着けていなかった。 必要ない―ということだろう。 コムラの手は少し震えていた。 わたしはコムラの手を強く握り締める。 するとコムラは弱々しく微笑んでくれた。 わたしはお面の中で、微笑む。 そして、山の主の前まで来た。 神秘的な雰囲気をまとう主の周りには、蛍が飛び交っている。 主に従うように、主を守るように―。
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