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幻の花は茎ぞいに小さなスミレ色の星形がいくつかついている花。深夜になると銀色の淡い光を放つ。最初から幻だったわけではなく、かつては森の奥に群生していた普通の花だった。
しかし根の成分が不老不死の薬に使われたことなどが元になって乱獲され、谷底に残るのみとなった。
「水の壁みたいなものがあるにゃあ」
「……それなんですが」
「マグライトの泉に寄られたのですかな?」
おずおずとアーノルドが話だすと、兜から僅かにでている顎を触りながら上官が確認する。伝承に詳しいのだろうか?質問がピンポイントだ。
「えぇ。最初は手がかりがないかと思ったのですが、伝説を思いだして……」
「伝説にゃ?」
「村娘がモンスターに襲われたとき、水の精霊パトラに加護を願ってコインを泉に投げたんだ」
「それで、どうなったにゃあ?ノアノア」
「水の精霊パトラは、彼女マグライトの願いを聞き届け、水の壁がモンスターから彼女を守った」
「コイン投げたにゃん?」
「それが持ちあわせがなくて……」
「カッコ悪いにゃ」
「自動支払いしてたから、うっかりしてたんだよ」
「よくあることですな。では、青いものを?」
上官、俺好きかもしれねーー。ピアジェとは大違いだ。
「えぇ、青のピアス……」
「それにゃ!」
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