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行方不明の子供
「探せないって、どういうことなの?」
「申し訳ありません。行ける者が出払っておりまして……」
ギルドの受付嬢、ピアジェは深々と頭をさげた。彼女の自慢のしっぽも力なく、うなだれている。本意ではないが2次遭難は避けなければならない。
「……そんな」
ギルド全体が重苦しい雰囲気に包まれる。
ピアジェ自身は冒険者からギルドに転職したためA級ライセンスをもっているし、行方不明の子供をシーマロンの森に探しに行くことはライセンス的には問題がない。シーマロンの森のライセンスはBランクであり、Aランクの1つ下のライセンスになる。
「ピアジェせんぱ~い。゚(゚´Д`゚)゚。パソちゃんがぁー」
頼んでいるのは、急ぎではない仕事。遅れても問題ない。
「ごめんにゃ。あとでみるから待っててほしいにゃん」
問題は、ここだ。いくらなんでも入って3日めの新人を1人で置いて行けるはずがない。
かといって、彼女に行方不明の子供を探すのを頼むのは、考えただけでゾッとする。
ランクこそピアジェの1つ上のSランクなのだが、薬草の採取を頼んだらスライムに負けて、泣きながら帰ってきた。スライムは駆け出しの冒険者にとって、ちょうどいい相手だ。めまいがする。
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