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ぐいぐい来る上司
翼は目黒と視線を合わせたまま、しばし時間を過ごしていた。
少しして目黒が、ため息みたいな息を吐いて
「…って言ってやりたいが、あいにく今の俺はお前にとって、只のイケメンで金持ちな上司にしか過ぎない」
自分で自分をイケメンやら金持ちだと言ってしまう目黒には、呆れてしまう。
「……まあ、そうですね」
なんとなく気にさわるが、事実なので仕方なく認めて頷く翼。
「だったら、今の俺の立場を変えればいい」
「え?」
翼は、目黒の顔をまっすぐに見つめた。
前から感じてはいた。
会議の時や仕事の時の会話も目黒は、少しテンポや言動が人と違う。
帰国子女のせいか考え方が日本人的ではなくて、少し、なんていうか…いや、だいぶか、イカれているといってもいい。それくらい、たまに常識が無いことを突然言い出したりする。
だから、翼は、目黒のことが結構苦手だったりする。
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