ぐいぐい来る上司

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「おっ、珍しくいい質問だな山梨。池上彰が手を叩いて喜びそうだ。俺がおまえに干渉出来る立場に変えるんだ」 「は?池上彰とか…あの、意味がわかりません」 そもそも池上彰は、無駄に手は叩かないはずだ。 「物分かりが悪い奴だな。わかりやすく言うと千葉の代わりに俺がお前の結婚相手になってやるってことだ」 「!」 非常にわかりにくい答えだ。 あまりにも突拍子のない発言すぎて、きっとあの説明上手な池上彰にしたって言葉を失うはずだ。 翼は、息と唾を同時に飲み込んでいた。そのせいで喉が太くなり破けそうになってしまう。 いかれている。やっぱり、チーム長は変わったひとだ。 「あのチーム長がわたしの結婚相手ですか?」 「ああ、さぞかし嬉しいか?」 「まさか」 さぞかし嬉しいか?って、恥ずかしいほどに日本語のセンスゼロだ。 「玉の輿に乗るのが不安か?」 「玉の輿?」 車に頭を無理やり押し込まれた翼は後部座席に目黒と並んで座る形になっていた。 確かにチーム長はトントリーホールディングスの会長の孫だ。その孫と結婚となればかなりの『玉の輿』にはちがいない。 ボケっとしている翼をちらっと見た目黒は 「シートベルトぐらい自分でしめたらどうだ?それとも結婚相手の俺に、あえてベルトをしてもらいたいのか?」 と、うまく整った顔を翼に近づけてきた。
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