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「ち、ちがいます。シートベルトぐらい自分で出来ます」
シートベルトを沢山伸ばして翼がしめると、それを待っていたように車がゆっくりと発進しだした。
「あの、どうしてですか?」
「あ?」
窓の外を眺めたままの目黒。
「チーム長は私に同情してるんですか?」
「してないし、するつもりもない」
「じゃあ、どうして」
ようやく目黒は翼の方へ顔を向けた。
「反対に聞いてもいいか? おまえ、あんな話を聞いても、まだ千葉と結婚したいのか?」
言われて、また改めて考えてみた。
エレベーターホールで徹は『結婚しても遊ぶ』と言っていた。あれは一体どんな意味で、どんな気持ちで口にしたのだろう。
正直なところ、徹がわからなくなってきていた。
本当に徹と結婚するべきなんだろうか。遊びたいなら結婚なんかしなければいいのに何故、結婚をしたがるのだろう。
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