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来人はそう言ってアップルパイを一口大に切り、バニラライスを添えて食べる。
口の中で紅玉の酸味とバニラアイスの甘さが合わさってとてもいい味に仕上がっている。
そこにフルーティーなキリマンジャロ…組み合わせは最高だ。来人は顔を綻ばせながら呟く。
「優君、本当に美味しいよ。1人でこれが出来るからいいなぁ…」
「来人の所は来夢がいるじゃないか。2人で奏でるArmoniaも素敵だよ」
「僕はCocktailとか飲み物担当で、兄さんは食べ物担当だからね…
2人いないと僕達のBARは成立しないんだよ。どちらか1人でもかけたらダメなんだ。
本当は優君みたいに出来ればいいんだけどなぁ…」
「僕には来人みたいなCocktailは作れないし、来夢みたいに『お客さんが必要としている思い出の品』は作れないからね。
今度来夢に新しい料理、教えてもらおうかな?」
「いつでもおいでよ。兄さんも喜ぶと思うよ?」
そんな事を話していると、ドアのベルが鳴る。お客さんが来たのだろうか?
「いらっしゃいませ。って『風雅』、今日は1人?」
「ああ、屋敷のデザートに飽きてな…優、何かおすすめはあるか?」
「今日はアップルパイのバニラ添えが美味しいですよ。僕もいただいてます」
「おや、先客がいたか…これは失礼。隣、いいか?」
「構いませんよ。1人よりも2人の方が美味しいものもありますし」
「じゃあ俺もおすすめをもらおう。飲み物は紅茶で…茶葉は優に任せる」
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
現れたのは『Black Gemini』というMafiaのトップである「風雅」だった。
組織では『King』と呼ばれており、いつもなら誰かしらSPを連れてくるのだが、今日は珍しく1人で来ている。
来人の隣に座ると、来人を見ながら言葉を紡いだ。
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