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一話「エピローグ」
暗がりのビルの一室に一人椅子に座っている少女が居る。
彼女が大事そうに持っているのは古い紙札、人の形をしており中心に梵字が書かれている。
(なんでこんなことになっちゃったの? )
彼女の脳裏に浮かぶのはつい数十分前の出来事。
家にやって来た変な黒服の人達が家の伝来の一品である人形の古い紙札を買い取りたいとやって来たのだが、彼女の家族一同これを拒否。
売り物でないと祖父祖母が首を横に降ると黒服達が実力行使に躍り出た。
だがこれは一度や二度ではない、過去に新興宗教の類いに札を買い叩かれそうになった時も一家総出で追い払い、事なきを得るストロングな家系であったのだ。
今回も家中を黒服達が詰め居る中を、一家でラグビーの如く札を持って走り回ってパスを繰り返し黒服に捕まるという「逃走中」さながらの大脱出劇を行ったのであるが…
最後に彼女に渡された時には一家皆取り押さえられ、いよいよ年貢の納め時となった。
そしてあれよあれよと街のビルに逃げ込んだ彼女であったのだ…
やがて逃げ込んだ個室のドアノブがガチャガチャと動き出す、だが内側から鍵が閉められているため開くことはない。
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