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「ここだ! ここに居るぞ! 」
扉を閉めたのは彼女自信、だが結果袋のネズミとなってしまった。
「開けなさい!我々は君に危害は加えない!言うことを聞きなさい! 」
外に黒服の男達が詰めかけ、扉の向こうから呼び掛ける、当然部屋の中の彼女に向かって語りかけているのである。
(駄目、聞いては駄目......)
彼女は見た目はまだ中学生程でおかっぱの似合う幼さの残る少女だ、だがその手に持った人形の札を家族の一員として護り通さなければ成らない。
何故ならこの札こそが、彼女の家々に代々伝わる失われた陰陽師の最後の式神の札であり、奇跡の残滓であると伝えられているからだ。
「扉の鍵がある筈だ、管理人を呼んで鍵を取ってこい!」
黒服リーダーらしきの男が指示する、すると他の黒服の男が廊下を走り鍵を取りに行った音が聞こえる。
(もう無理なの? ここで捕まるの! )
彼女の手には汗が滲み手元の鞄が滑り落ちる。
(まだよ! まだ何かしらの方法がある筈…落ち着いて考えよう、この札を隠す方法を! )
彼女は鞄の中を開けて探り始める、だが隠してもそれは何時かは見つかるものであり一時しのぎにしかならない。
(おおっ…!これだ、これで良いかも…)
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