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唇を重ねると、川嶋の唇は命あるもののような熱をまるで感じなかった。 彼の祖母が一緒に彼も連れて行ってしまうのではないか。 そんな恐怖に襲われて、宇賀神は自分の熱をその唇に移そうと夢中で貪った。 やがて、少しずつ熱くなってきた唇が、小さな吐息を漏らし始める。 宇賀神の舌の動きに、川嶋の甘い舌が拙く応えてくれて。 「ん……っ」 宇賀神は、川嶋の腰を抱いて、唇を合わせたまま自分のベッドにその身体を横たえた。 一度唇を離して、確認する。 「いいんだな?俺、始めたら、たぶん止めらんないぞ」 そんな余裕ないからな? 川嶋は今のキスで潤んだ瞳を宇賀神に向けた。 目尻から、その溜まった涙がポロリと一粒零れ落ちた。 一粒落ちると、それは後から後から零れ落ちる。 「止める必要ないから」 涙を零しながら、彼は言う。 泣きたいのに、泣くことができないから。 お前なら、たくさん泣かせてくれるだろ? 宇賀神は、もう何も言わなかった。 大事な宝物を取り出すように、そっとそっと川嶋の喪服がわりの制服を脱がせる。 嗚咽を漏らす細い喉を宥めるように唇を這わせた。 鎖骨に吸い付き、更に下へ。 女とは違って、膨らみのない滑らかな胸を唇で辿って、ほんの僅かな尖りを見つける。 「ぁっ……」 小さな声が、嗚咽に混じって漏れた。 ピクッと身体が震える。 その部分を、舌先で捏ねるように舐め回すと、少しずつ形を浮き上がらせてきた。 宇賀神は、指先をスルッと滑らせ、もう片方の突起も探り出す。 舌と指先で両方を弄ると、ひくんと背中が跳ねた。 「……っん」 堪えるような押し殺した声。 控えめなその声が、だからこそ宇賀神を煽る。 川嶋は顔だけでなく身体も綺麗だった。 滑らかな肌は、宇賀神に男女の営みを教えたどんな美女たちより白くてきめ細かい。 唇にも指にも触れるだけで吸い付くような感触を返してくる。 全身触れてないところはないと言えるぐらい全部触れて確かめたい。 このひとが俺のものになったってことを。 胸の突起を散々味わって、宇賀神はそろりと片手を伸ばした。 川嶋の細い白い脚の間にある、それを探り当ててじわりと喜びを覚えた。 それは、熱を持って、緩くだけれど立ち上がっている。 宇賀神の愛撫に感じてくれている。 そのことが、彼を猛らせた。 「宇賀神」 いつもの平淡ではない、熱を帯びた声が彼の名を呼ぶ。 「もっと」 もっと熱くして?
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