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彼が恋い焦がれてやっと手に入れるこのひとは、射精するのも初めてなのだ。
ならば絶対痛い思いはさせたくない。
初めてで、これはキモチイイことなんだと植え付けたい。
そうしたら、触れ続けることを赦してくれるかもしれない。
だから、優しく丁寧に、念入りにそこを解していく。
もちろん、一度放出してくたりと力を無くした前も、もう一度熱を持たせるためにそっと手のひらで包み込んだ。
指が体内に入り込む違和感を、前を弄ることで快感とすり替えてしまう。
ひんやりと冷えきっている川嶋の身体の表面と違って、身体の中は熱かった。
そのことが宇賀神を少し安心させる。
まだ大丈夫。
川嶋はちゃんと生きてくれる。
だから、その熱を、指だけじゃなく身体で感じたい。
指を2本に増やす。
「んっ……」
そっと顔を覗き込むと、キツそうな顔をしている。
宇賀神は指をくねらせ、その場所を探している。
そして、その場所をようやく見つけた。
そっと、だけど、確実にそこを擦り上げた。
ビクッと川嶋の背中が反った。
「やっ……」
手のひらの中で再び熱を持ち始めていたそれが、急に重さと熱を増す。
きゅっと瞳を閉じ、思わず腰を浮かせている。
宇賀神は優しく、でも執拗にそこを責めた。
川嶋の意識をそっちに縛り付けて、その間に更に解していく。
指はいつの間にか3本に増えていた。
「宇賀神、も…おかしく、なる…」
「いーんだよ、おかしくなれよ、今だけは何も考えなくていいんだから」
俺のことだけ考えてて?
お前のこと気持ちよくしてる、この指のことだけでアタマいっぱいにして?
そんなところまで桜色に染めている耳許に囁けば。
「いつも、だよ…」
「え?」
「いつも、おまえのことしか、ない」
だって、そうだろ?
僕にはお前しかいないから。
「…龍、もっと」
中学に上がった頃から、いつの間にか名字で呼ぶようになった川嶋が、久しぶりに懐かしい呼び方をしてくれた。
「もっと、おかしく、して?」
はあ、と熱い吐息とともに、そんなこと言われたら。
もう、繋がりたい。
限界だ。
宇賀神は丁寧に丁寧に解したそこに、限界まで膨れ上がった自身の熱を押し当てた。
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