4.

3/6
1035人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
「でも、僕、宇賀神会には入らないよ?」 川嶋は相変わらずバッサリとそう言う。 その頃にはもう、体格も風格も、荒くれた男たちを束ねる存在として問題ないぐらいの成長を遂げていた宇賀神は、もちろん、と余裕の微笑みで答えた。 「アキは極道になんかなる必要ない」 なりたい職業になれよ。 でも、俺が近寄れない職業だけはやめてくれ。 俺はお前が側にいないと生きていけない。 高校生になってある程度は成長した川嶋の、それでも相変わらず細いしなやかな身体を強く抱き寄せて、そう言えば。 川嶋はそっと瞳を伏せて、額を宇賀神の胸に預ける。 「龍がいないと生きていけないのは僕のほうだ」 医者になろうかな。 そうしたら、お前に何かあったとき、僕が救えるかもしれない。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!