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しかし、そんな宇賀神の悩みを、川嶋はあっさり解決する策を持ってきた。 このところ忙しくてなかなか会えず、久しぶりの逢瀬に宇賀神が夢中になったその後のことだ。 身体中に宇賀神の所有欲を満たすための痕を残されて、でもそんなことを全く気にしない川嶋は、まだ名残惜しそうに彼の身体をまさぐる宇賀神の腕の中で小さく欠伸をしながら言った。 「僕、就職先決めたから」 「あ?」 突然の話題に、宇賀神は思わず柄の悪い聞き返し方をした。 川嶋は、そんなことも全く気にしない。 いつもと同じように、宇賀神の腕の中が一番落ち着く、と言わんばかりに頭をその胸に押し当てて、もう一度言った。 「就職先、決めた」 「どこだ?」 すぐにどんな企業か調べないと、と頭の中で宇賀神は忙しく考え始める。 「個人のクリニックで、秘書やることにした」 「秘書?」 あまりにも突飛な言葉に、彼は再び聞き返すことになった。 「うん、なんかすごく忙しいお医者さんだから、スケジュール管理を完璧にできる優秀な礼儀正しい人材を探してたんだって」 「は?なんだその伝聞。どういうツテなんだよ?」 「ツテって言うか、その人、お祖母ちゃんの古い知り合い。この前お墓参りに行ったときに偶然会って」 「なんだ、ソレ。怪しすぎるだろ、おい!」 もう眠いんだけど。 話、明日じゃダメ? 龍、いつも激しいから、ホント疲れるんだよ? 仮にも宇賀神会のナンバーツーが恫喝に近い勢いで喚いているというのに、川嶋は全然動じないどころか、眠そうに半分うつらうつらしている。 そりゃまあ、久しぶりの川嶋の身体に、後先考える余裕もなくがっついたのは自分だけれども。 はあ、と宇賀神はため息をついた。 愛しいひとの髪をくしゃりと撫でる。 「アキ、その医者の名前だけ教えろ」 そしたらもう寝ていいから。 「ん…遊佐、遊佐忠仁先生」
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