おまけ

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「授業はちゃんと受けないと」 僕たちはここに遊びに来てるわけじゃない。 高い学費を払って来ている。 川嶋の最もな説教に、宇賀神は小さく笑う。 この俺を叱れるのは親父とアキだけだ。 そう言ったら、川嶋も小さく笑った。 あの怖いお父さんと僕は一緒なの? 睦言のように囁き合う会話があまりにもいつもと同じように二人の世界を作るから、川嶋は嫌な緊張をどこかにやってしまったようだ。 安心したように緩む手を、だけど宇賀神は離さない。 さあ、どうする? 授業が始まって、そちらに集中する川嶋を横に、宇賀神はまだこちらを妬ましそうに見ているそいつに胸の内で問いかける。 アキの笑顔を見せてやったのは大サービスだ。 制裁を加えるのに必要なだけのアクションを起こせよ? さすがに何もしてない堅気に手を出すわけにはいかないからな。 授業が終わって、宇賀神は教室の後ろのほうに待機していた舎弟の一人にチラリと視線を送る。 それから、川嶋に言った。 「ちょっとだけ電話してくるから、待ってろ」 川嶋が不安げな顔をしたのはほんの一瞬。 いつもの淡々とした顔で小さく頷く。 「高原がついてる」 川嶋につけている馴染みのボディガードの名前を言うと、川嶋もさっと教室の後ろに視線を走らせた。 高原はいかにも極道という雰囲気ではなく、うまく大学生に混じれるタイプの男だ。 後ろにいることに、川嶋は全然気づかなかった。 さて。 宇賀神は、川嶋の側を離れて行きながら、そいつの動きを目の端で追った。 恐ろしい大男が側を離れたのを見て、そいつは当然のように小走りで川嶋のところに近寄っていく。 アキにできるだけ嫌な思いはさせたくなかったけれど。 後で望むだけ抱いて癒してやるから、許せ。 教室の出口は後ろにある。 その出口の近くに立つ高原に「わかってるな」と耳打ちし、宇賀神は教室を出た。
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