2.

4/7
前へ
/44ページ
次へ
だけど、嫌われるのは嫌だ。 彼は川嶋に側にいて欲しい。 欲望と理性の間で少し葛藤して、それから、宇賀神はその細い手首を離した。 「悪かった」 夢中になっていたせいで、その手首に彼の指の痕が赤く残っている。 川嶋は、赤くなった手首をさすりながら、肩を竦めた。 「お前、馬鹿力なんだから気をつけろ」 キスされて、更にはもしかしたら強姦されていたかもしれないのに、泣いたり喚いたり詰ったりするわけでもなく、いつもと同じ淡々とした口調でそう言って、もう一回ゲームしよう、と何事もなかったかのようにコントローラーを掴む。 「勝ち逃げとか許さないから」 強姦されそうになっても全然平然としているくせに、ゲームで負けるとチラッと覗かせる勝ち気な瞳。 そういうところも堪らなく好きだと、宇賀神は思ったのだ。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1062人が本棚に入れています
本棚に追加