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だけど、嫌われるのは嫌だ。
彼は川嶋に側にいて欲しい。
欲望と理性の間で少し葛藤して、それから、宇賀神はその細い手首を離した。
「悪かった」
夢中になっていたせいで、その手首に彼の指の痕が赤く残っている。
川嶋は、赤くなった手首をさすりながら、肩を竦めた。
「お前、馬鹿力なんだから気をつけろ」
キスされて、更にはもしかしたら強姦されていたかもしれないのに、泣いたり喚いたり詰ったりするわけでもなく、いつもと同じ淡々とした口調でそう言って、もう一回ゲームしよう、と何事もなかったかのようにコントローラーを掴む。
「勝ち逃げとか許さないから」
強姦されそうになっても全然平然としているくせに、ゲームで負けるとチラッと覗かせる勝ち気な瞳。
そういうところも堪らなく好きだと、宇賀神は思ったのだ。
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