向日葵の彼女～ナナと詩歌の６２日～

その日は

若い女性教員もいるにはいるが、仕事柄派手な服も化粧もできず、香水の類いもつけられない。

ドラマのように女優のような美人がいるわけでもない。

だからといってだらしない容姿格好で手を小招いているわけでもないが。

そこは生徒の手本とも言えるべく、きちんと襟を正した服装に背筋を伸ばした姿勢は保たなくてはならない。

勉強が好きな子供はいない。嫌いなそれをいかに上手く前向きに興味を持つように持っていくかも義務だ。

教え方が悪いと難癖つける親もいなくはない。

「せんせー、松宮先生」

「ああ、中嶋先生」

顔をしかめて応える松宮。

詩歌より２年後輩の中嶋香子(なかじまきょうこ)は、わかりやすく彼を気に入っていた。