貝殻の風景

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貝殻の風景

 人を頭蓋骨という殻に閉じ込め、貝に変えてしまうほどの吹雪の白に私は支配されている。既に、頭蓋骨に繋がっているはずの私の体は白く消え、いずれ、こうして思考している私というコックピットも白い海に解けていくのだろう。  白紙に還るのだと思っていた。しかし、貝の口の薄い幕が、また、明るくなり、続く物語が始まろうとしている。  凍りついていた鼓膜が、細いトンネルの空気が震えているのを微かに捉えている。人、の話し声のようだ。殻の膜が開かれ、白い光が入ってくる。と同時に光は針のように私の中心を刺す。私に痛覚が残っていたとは驚きだ。そして、命の生臭さ。おそらく人の息が私の嗅覚に届いている。  意識があるのかないのか分からない時を、私は殻の中をくすぐる光の照射が断続するリズムを、ささやかな楽しみとして受け入れる他はない。
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