茜色

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 クルリとその場で回れ右をして、ベンチに座る。  ストン。  座っても女の人は下を向いたままだった。  「……」  と無言で何かを考え込んでしまっている。  すると、そこへ暗い影が差し込んだ。  「…?」  と思い、顔を上げる。  考え込んでしまっていたため、近づいてくる足音さえ、気づかなかった。  顔を上げると、小さな女の子が一人、不思議そうな顔をして、立っている。  「どしたの?」  小さな女の子は不思議そうな顔をしたまま、聞いた。  聞かれた女の人は弱かったが、出来るだけの微笑を浮かべ、  「うん…」  と小さな相槌を打つ。
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