茜色

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 思うと、女の人は座っていたベンチから立ち上がりながら、  「さ、行きましょうか」  と出来る限り、明るく言った。  ベンチから腰を上げ、立ち上がった女の人は心配そうな表情をしたままの女の子へと片手を差し出す。  差し出された片手に女の子は少し戸惑いの表情を見せるもののその手を握った。  女の子の手を優しくギュッと握ると、女の人はゆっくりと歩調を女の子に合わせながら、歩き出す。  女の子もトコトコトコと女の人の後を追うようにして、歩き出した。  元来た道を戻り、歩いていきながら、  (このコは私が守る)  と強く決意をして、思っている。  …たとえ、自分の子供じゃなくても。  (…あの人の分身でもあるこのコを私が何としてでも守ってみせる)
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