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僕は、誤魔化した。
そして、学校に着いた。
教室に入ると、窓側の席の僕は、ついグランドを見てしまう。
いつからだっけ?
僕が陸上を嫌いになったのは!
最初は、楽しくて仕方なかったのに。
授業が始まっても僕は、グランドを見続けた。
そして、体育の授業で、100メートル走が始まった。
達也と同じレーン。
先生のかけ声と共に、僕らは構えた。
僕は、全身の力を耳と足に集中した。
スターターピストルがなった。
パン。
力一杯走る。
横目で、隣を見ると僅かに僕が勝っている。
良し、勝ってる。
しかし、後半につれて達也がスピードを上げていく。
僕は、抜かれた。
抜かれたと同時に全身が重く感じた。
2着になったもののタイムは、よく無かった。
達也は、いつもと違う様子の泪に心配そうに声を、かけた。
「体調…悪いのか?」
僕は、自分の不満を達也にぶつけてしまった。
「達也に勝てないのは、いつもの事だろ?」
達也は、申し訳なさそうに俯いた。
「そんなつもりじゃ無いんだ。」
僕は、その日達也と言葉を交わす事は無かった。
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