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いつもと変わらない、日常が始まる。
ベッドで気持ち良く寝ている僕に、カーテンの隙間から熱い太陽の眼差しが差し込み僕の眠りを遮る。
睡魔に襲われながらも暑さに耐えられず僕はベッドから降りた。
半開きに開いた目を擦りながら、パジャマ姿で階段を降りた。
母は朝食を作っていた。
どうりで良い匂いがするはずだ。
母は僕に気がつき挨拶を言った。
「お早う」
僕も同じ言葉を返した。
「お早う」
目玉焼きに、ウィンナーが木造テーブルの上に並べれていた。
椅子に座り朝食を食べ終え制服に着替え家を出た。
僕の家から学校までの距離は徒歩15分位。
少し歩くけれど、登校するまでの道のりは、自然豊かでそれを眺めながら、歩くのは僕の日常の中で少しの楽しみだ。
歩いていると、後方から声が聞こえた。
振り返ると親友の達也だった。
笑顔で、手を大きく振っている姿を見ると少し心が痛む。
僕はいつも達也と順位を競っていた。
でも、1度も勝てた事がない。
だから、時々、同じ学校じゃなければと考えてしまう自分がいた。
そんな気持ちを抱えている内に、達也の前で、作り笑顔をするようになった。
1度も勝てた事がない僕を、達也はライバルと思ってくれている分、罰が悪い。
「オッス!達也」
僕は精一杯の笑顔で挨拶をした。
「泪、今日の授業は、100mらしいから勝負な」
僕は今日も負けるのだろうか?。
「泪?」
「あぁ、悪い、昨日寝不足気味で」
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