運動会

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運動会

あれから1週間が経ち、運動会前日。 僕は、明日の運動会に緊張していた。 何せこの世界は、あべこべ。 思ってのと違う事なんて日常茶飯事。 緊張していたせいか、あまり眠れずいつもより遅い時間に、起きてしまった。 急いで、身仕度をして、出て行った。 走って行くと、間に合いそうな位の時間のゆうよが出来た。 朝ご飯を、食べ損ねた為近くのコンビニに寄り焼きそばパンとコロッケパンを購入した。 歩いていると、もう学校が目の前の近くまで来た。 すると、カラスが数匹リズム良く歩いていた。 周りにいたカラスは、人の前まで行き食べ物を貰っている。 可愛いなぁ〜。 すると、1匹のカラスが愛くるしい眼差しを向けて僕の方へ歩いて来た。 何か…あ!パンがあるぞ。 コロッケパンのパン部分を少しちぎりカラスに投げると、嘴を上手く使い食べている。 食べ終わると、また僕を見つめて来た。 もう一回ちぎりパンをあげた。 この世界のカラスは、みんな歩いているな。 あべこべ世界だから、おそらく飛べないんだろう。 カラスは、又もや食べ終わると僕を見た。 パンをあげた。 すると、どこからか声が聞こえた。 「コロッケが欲しいんだよ! しけてんなぁ〜。」 僕は、辺りを見渡すと誰もそれらしい人は、いない。 「おい、泪! コロッケ、コロッケ。」 僕は、声のする方を見るとカラスだった。 「今の声、お前か?」 カラスは、首を、捻る。 「当たり前だろ! 寂しい泪に、わざわざ買われてやっただろ。 コロッケ、コロッケ。」 どうやら、この世界の僕が買っていたカラスらしい。 地球のカラスも、食べ物をあげると人間になつくって言うけど、そんなレベルじゃないぞ。 最早カラスの形をした人間じゃないか! 「おい、泪 コロッケ、コロッケ」 「わかったよ。」 僕は、コロッケパンを全部あげた。 食べ終わると、毛づくろいをしている。 僕は、達也が言っていた究極リレーで、動物を連れてくると言われたのを思い出した。 「ねぇ、えーと名前は?」 「名前?俺のか? パイロットだ。」 我ながらセンスのかけらもない。 少し心に、ダメージを負ったがカラスに運動会に一緒に来るように頼んだ。 「なぁパイロット。」 カラスは、少し声を荒げた。 「パイロットじゃねぇ! パトだ!」 「え!でもさっき………」 「確かに、名前は、パイロットだ! でも、パトと呼んでたぞ!」 「パト! 運動会の日一緒に、出でくれない?」 「帰りに、コロッケを10個買って来たら、行っても良いぞ!」 すると、パトは、羽を羽ばたかせ僕の家の方角に向かった。 この世界で、初めてカラスが空を飛んだのを見た。
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