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季節は初夏、吹く風はまだ冷たく、見上げれば満ちかけた月がある。とくればここは城外だった。左右は見知らぬ建物に挟まれていて、近くに酒場でもあるのか、酔っぱらいのものらしき喧噪も聞こえてくる。まあ、いわゆる路地裏だった。
酒を飲んで飲ませて飲まされて、たいへん楽しかった。人間のやりかたを踏襲し、酔っ払わせていいようにしてやろうという目論見をのぞいても、好ましい相手と飲むのは楽しい。酒を造り出したことは、人間の数少ない功績だとルフは思っている。
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