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嫌々ながらしばらく進む内に、辺りの地面からは砂が減り、代わりに岩が増えた。波でけずれて表面がまろくなった岩の上は歩きやすいが、嫌いな香りはますます強くなる。足跡も分からなくなってしまったから、知らないうちに海沿いを離れていないか最新の注意を払わなければならず、神経を遣う。それに、嫌なところに居続けるのは本当に苦手なのだ。
くたびれ果てながら、波打ち際にデン、とある巨岩を回り込んで先を急いでいると、追ってきた声がさほど遠くないところから聞こえた。
悲鳴だった。
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